第7回 とりあえずビール

4月も半ばを過ぎ、研修が終わった新入社員との新人歓迎会の宴も増えてきているかと思います。先輩社員にとっては新人の 新人さんにとっては先輩、上司の顔と名前を覚えるのに必死かもしれません。 私らの時代は宴席と言えば、とりあえずビールで乾杯でしたが最近の若者はビールが苦手な方が増えてきて、アルコールはダメとか、酎ハイやカクテルしか飲めないという人も多いようです。 確かにビールは味としては苦い飲み物で、どちらかというとのど越しを味わうものですから、コーラやジュースで育った若い人たちにビールをおいしいと感じるには、ある程度回数を飲まないとおいしさがわからないかもしれません。 日本でビールといえばアサヒ、キリン、サッポロ、サントリーなど大手メーカーが主流で、それぞれスーパードライ、一番搾り、黒ラベル、モルツなどが有名ですが、実はそれ以外でもビールを製造販売しているところはたくさんあります。いわゆる地ビールといわれるメーカーです。 日本では1994年の酒税法改正により、ビールの最低製造数量基準が2000klから60klに緩和されたことにより、地域密着型の地ビールメーカーが多数誕生しました。この地ビールですが、大手メーカーとの差別化を図る為、独自の様々な製法で作られています。 日本でビールと言えば、冷たくひやしたすっきりした味わいのピルスナータイプと言われるビールが主流です。ですが実はビールにはいろいろ製法があり、その味わいや飲み方も異なります。 ピルスナータイプ以外のビールではエール、ヴァイツェン、トラピストなどが有名です。ちょっとご紹介してみましょう。

■エールビール

エールビールはイギリス発祥のビールで、ピルスナーと同じ大麦からできるのですが、ビール酵母が異なります。 ピルスナービールの酵母は下面発酵タイプでエールビールは上面発酵タイプです。これは醸造中の酵母が醸造タンクの上面で発酵するか、下面で発酵するかの違いで味わいも異なってきます。 エールビール特徴ですが香りが強く、フルーティーな味わいとなります。飲む温度もあまり冷たくすると香りが感じられませんので、常温か少し冷えた程度が飲み頃とされています。
(※写真は箕面ビールのペールエール)

■ヴァイツェンビール

ヴァイツェンビールは南ドイツ発祥のビールです。ビールは通常は大麦麦芽を使用しますがこのヴァイツェンビールは大麦以外に小麦麦芽を使用して作られるビールです。 酵母は上面発酵タイプで、特徴はエールと同じく香りがより豊かで、ホップの苦みがほとんどなく、ピルスナータイプの味の違いは顕著です。
(※写真は銀河高原ビールのヴァイツェン)

■トラピストビール

トラピストはベルギー発祥のビールで、意外ですがキリスト教のトラピスト修道会が作っているビールです。トラピスト修道院所有の6つの醸造所で作られ、それ以外はトラピストビールと認められません。 もともとキリスト教の儀式には、ワインがつきものですが、ベルギーはヨーロッパの北部地域であるため、ワインの元になるブドウができず、麦から作るビールを儀式に代用していました。 そのためトラピストビールは普通のビールの琥珀色とは違い、ワインのように赤紫がかった色をしているものも作られています。上面発酵ビールでトラピスト修道院所有の6つの醸造所で、それぞれ味わいの異なる個性的なビールが作られます。
(※写真はトラピストビールのシメイ)

その他にも、その国、地方ごとに味わいの違う、個性的なビールが作られています。昨今の地ビールブームにより、いろいろな種類のビールがバーや百貨店、スーパーの酒コーナーなどで気軽に飲める機会が増えています。 新人さんとのビールで乾杯も、普段と違うビールなども勧めてみて、ビールのおいしさを教えてあげるのもいかがでしょうか。