BIMとはBuilding Information Modelingの略です。 直訳すると「建物情報モデルを作成すること」となり、なんだかよくわからない感じですが、BIMと呼ばれる前は「バーチャル・ビルディング」とも呼ばれていました。バーチャルというと日本語で仮想ということですから、文字通りコンピュータ上で仮想の建物を建てるということです。
コンピュータの急速な発展に伴ない、プログラム開発者というものはコンピュータの中に仮想空間を作りたがります。 ゲーム業界はいち早くバーチャル化が進み、スーパーマリオブラザースという有名なゲームソフトがありますが、 最初のマリオは、平面のマリオが右や左に走ったり飛んだりするだけでしたが、今では仮想世界の中を目が回るくらい、四方八方に飛び回っています。 製造業でも、自動車や電化製品などは早くから試作品を作る前にコンピュータの中で仮想の車や製品を作ってデザインの検討や、実際にコンピュータの中を車で走らせるなどして問題点の抽出を行っています。
そして2000年代に入り、建設業も遅ればせながらコンピュータ上でバーチャルな建物作りが始まりました。バーチャル建物というと3次元ですが、建設業では以前からコンピュータで建築パースを描いたり、3次元データを活用していたじゃないかと思われる方も多いと思います。 しかしBIMと従来のCADとの違いは、従来のCADはあくまで線の集合で、パースも絵でしかありません。 いわば芝居のセットのように、ベニヤ板に壁やドアの絵が描いてあるようなイメージです。 BIM の世界ではコンピュータ上で建物を建てていきます。いわばコンピュータの中でプラモデルの建物を組み立てていくといったイメージです。ただプロモデルとは大きく違うところがあります。
小さいころ、プラモデルでお城なんかを作った方もいらっしゃると思いますが、プラモデルの部品はA-1、B-2とか、部品は番号で表されて、その建物に合った形のパーツで組み立てていきました。 しかしBIM の世界のパーツはコンクリートの200mm厚の壁とか、カーペットを敷いた150mmの床とか実際の部材そのものの属性を持っています。 BIM のソフトの中にはこれらのパーツがある程度用意されていますが、そのパーツを使って建物を作っていきます(無いパーツはソフトの中で作ります)。 ですので、BIM ソフトで作成したデータは線の集合体ではなく、柱や梁、壁といった躯体部分から、タイルやカーペットなどの仕上げ材、ドアや窓などの建具など、 すべて属性を持ったデータの集合体となりバーチャル・ビルディングとなります。したがって、このバーチャル・ビルディングからは、数量算出や干渉チェックなどの様々な有益な情報を抽出することが可能になります。
しかしここで、実際に一番建築で重要になる図面はどうなるのか?と疑問を持たれる方もいらっしゃると思いますが、図面はBIM の建物データから切り出します。 市販のBIM ソフトでは各社に差はありますが、1/100の平面図と指定すれば、その図面のディテイルに合わせて2次元データを抽出できますから、2次元CAD での編集が少なくなるよう工夫されています。 しかし図面作成に限って言えば、BIM モデルを作って図面を描くほうが、2次元CAD で図面やパースを描くよりも早いかといえば、一概にいえません。 むしろ精巧なBIM モデルを作って図面化するほうが労力も時間もかかる場合もあります。ではなぜ、建設業の中でビム、ビムと関心が集まっているのか?
それは次回にお話ししたいと思います。
